スペクトラム・アナライザって何!どんなところで使われているのか!
スペクトラム・アナライザ(以後、スペアナで表記)の画面は、実は身近なところでも使われています。その一つがオーディオ、カーオーディの音質を表す機器のイコライザがその一つです。
![](https://i1.wp.com/kaichanpapa.info/wp-content/uploads/2019/09/イコライザ.png?fit=750%2C530)
上記のようなイコライザをご覧になったことはりませんか?
この表示は、その楽曲にふくまれる音波の低い音から高い音まで、それぞれどのくらいの音量が出ているかを示しているのです。
これがまさにスペアナと同じなのです。低い音(周波数の低い音)から、高い音(周波数の高い音)まで、それぞれの高さ音のレベルを表示する、これこそがスペアナの役割そのものなのです。
一般的にスペアナは、電気信号または電磁波を対象に測定する機器になります。
スペアナはゆっくりした振動の(周波数が低い)電気信号から非常に速い(周波数が高い)振動をする電気信号まで、それぞれどのくらいのレベルで出ているのかを見ることができます。その周波数も1KHZといった低い周波数のものから、110GHzまでの高い周波数まで計測できるものもあります。
オシロスコープとスペアナは同じ信号を違う視点(角度)から見ている!
![](https://i0.wp.com/lifewak.com/wp-content/uploads/2019/09/1.png?resize=652%2C474&ssl=1)
オシロスコープの表示は、縦軸が信号の電圧(または電流)で、横軸が時間を表しています。(時間ドメイン測定と呼ばれている)
※電気信号の時間的な変化を波形として表示する測定器
それに対してスペアナは、縦軸が信号レベルで、横軸が周波数になります。(周波数ドメイン測定器と呼ばれている)※周波数レベルの分析器
オシロスコープの画面とスペアナの画面は、上記の図にようになります。
オシロスコープで複雑な波形を観測しているとき、さまざまな周波数(f1、f2、f3・・・)の波が重なっている波形です。その周波数成分ごとのレベルを表示するのがスペアナになります。
オシロスコープで見ている時間軸の「波形」と、スペアナで見ている周波数軸の「スペクトラム」は、フーリエ変換の計算をすることで相互に変換することができます。
参考にオシロスコープとスペアナで観測した波形を紹介します。
下記の図は正弦波と矩形波をそれぞれオシロスコープとスペアナで観測した波形になります。
【正弦波の信号をオシロスコープで観測した画面とスペアナの観測し画面】
![](https://i0.wp.com/lifewak.com/wp-content/uploads/2019/09/unnamed-file-1.png?resize=591%2C292&ssl=1)
【矩形波の信号をオシロスコープで観測した画面とスペアナで観測した画面】
![](https://i0.wp.com/lifewak.com/wp-content/uploads/2019/09/unnamed-file-3.png?resize=922%2C338&ssl=1)
スペアナでは、正弦波であれば単一のピークが立ち、矩形波ならば基本波の奇数倍の周波数にスペクトルが立ちます。
また、AM(振幅変調)信号とFM(周波数変調)信号ではどうなるか
AM(振幅変調)信号は下記の図がようになります。
![](https://i0.wp.com/lifewak.com/wp-content/uploads/2019/09/ef3549696d1e765cced6159dcc9d4cec.png?resize=721%2C542&ssl=1)
例えば
AM変調波信号の実測波形をオシロスコープで見ると正弦波のように見えます。
正弦波の波形では発信したい信号が出ているか確認する事ができません。
スペアナだと、スペアナだと上記の様に周波数毎の強度が見えてAM変調を確認する事ができます。
FM(周波数変調)信号は下記の図がようになります。
![](https://i0.wp.com/lifewak.com/wp-content/uploads/2019/09/f358e100b9cab29377a8c3495ab92e8e.png?resize=712%2C429&ssl=1)
FM(周波数変調)信号をオシロスコープで見るといくつもの波形が重なり、上記の様な台形型の信号が出ていることを確認できません。
スペアナは無線通信信号や高周波回路の信号や電気的ノイズの強さを観測するのに使われます。
AM/FMラジオやテレビ放送、携帯電話の電波の強さや品質を調査するのに使ったり、不明な信号を受信/解析して発信源を特定する用途に使われます。
スペアナの用途
- 電波環境や受信強度の確認
- 不明電波の調査
- 無線機のテスト
- 電気的ノイズの測定
とくに、IoT無線機器の設計/開発の際は、おもに二つの用途、「無線通信信号の解析」と「電気的ノイズの測定」に分けて使われています。
無線通信信号の解析
IoTでは、さまざまな周波数/通信方式の無線通信信号が使われています。例えば日本では、FMラジオは76~90MHz、無線LANなら2.4GHz帯から5GHz帯、Bluetoothは2.4GHz帯、EnOceanやLoRaは920MHz帯、交通系ICカードや電子マネーのICカードに使われるRFIDの通信は13.56MHzといったように、用途ごとに周波数が決められています。これらを測定器で評価する際、オシロスコープで波形を見るだけでは「本当にその周波数信号が出ているのか」を判断するのは難しいのです。しかし、スペアナならば、本来使われるべき周波数帯域が使われているかどうかを一目で確認できます。
また、スペアナの中にはシグナル・アナライザと呼ばれる、無線通信信号の評価に特化した機能をもつ測定器もあります、このシグナル・アナライザを使えば周波数ごとのレベルの測定だけではなく、送られている信号の波形や情報、理想的な変復調ができているかの確認をする事ができます。